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2023/07/04 16:13


鋳物を現代の居住空間において新たなスタンダードとしたい。そんな想いから生まれた鋳物メーカー発のブランド「HONOR」。簡素で普遍的なものこそ永く使ってもらえるという考えのもと活動しているKUMIJIと協商し、HONORがつくるべきものを模索してきました。

スタンダードを目指すためには何が必要か。様々な技術や素材が発見され改良され進化してきた現代において、もう一度原点から考え直してモノを作れないだろうか。そんな根源的な問いや疑問から、美を誇張するような存在感ではなく、徹底して調和に重きを置いた、居住空間にさりげなく佇むようなプロダクトの開発が始まります。

鋳物の最大の特徴は何か。それは様々な形が成形できるのみならず、表情が画一的でなく適度なムラがあり深みを感じること。特に鋳物特有のざらつきある肌は、その表情をより一層奥深くしています。画一的ではない深みある表情、それこそまさに静かな調和をもたらす歓迎すべき個体差として捉え、それを体現する第一弾のプロダクトとして選んだのが掛け時計です。
KUMIJIでもミニマルの代名詞として存在している掛け時計。この必要な要素だけを抽出して素材を際立たせる手法を、HONORの時計にもふんだんに取り入れました。

これまでの一般的な掛け時計といえば、当然時刻の確認という、機能性の観点が強かったわけです。しかし近代スマートフォンなどの台頭により掛け時計に求められる存在価値も変化してきました。

現代の生活において、掛け時計はある種その壁、その空間全体にメリハリを与える絵画的なシンボルとして、いわば鑑賞の対象として生まれ変わりつつあるのではないだろうか。

そんな考えからこの度開発した掛け時計の文字盤には、通常施される酸化防止剤などの塗装を採用せず、素地のままにしてあります。そしてガラスなどで針を保護せず、文字盤は剥き出しにしてあります。そこにはアルミニウムという素材を正直に受け入れ楽しんでもらいたい、そして経年による表情の移ろいも一つの美のあり方として提唱したいという想いがあります。

出来上がった時計は、鋳物の特性を活かした形状、表情で、その場に緊張ではなく静かな時の流れをもたらしています。

まるで火口の頂点を切り取ったような、クレーターを彷彿させる形状。様々な形を模索し試作しましたが、いわゆる工業製品のようなカチッとした印象を少し抑え、どこか有機的で優しさを感じさせるデザインとしてこの形状に落ち着きました。

鋳造後の仕上げ処理も一筋縄ではいかず、理想の風合いに落ち着くまで多くの試作を必要としました。
鋳肌(鋳物特有のざらつきある肌)の特徴が損なわれないよう、職人が一つひとつ手作業で仕上げている繊細な表情が、これまでにない新たな鋳物製の時計を誕生させました。

シンプルで頑丈で機能的であること、主張ではなく調和に重きを置くこと、月日と共に味わい深く変化していくこと、表情が画一的ではなく深みを感じること。
それがこれからの時代、スタンダードとして永く使ってもらうことに繋がるのではないだろうか。

そんな想いを込めて生み出した第一弾のプロダクト『crater clock』。是非暮らしを彩る一品として、迎え入れてみてはいかがでしょうか?